文書作成日:2024/05/07
令和6年に生まれた子の定額減税の取扱い

[相談]

 私は会社で給与計算を担当しています。
 今年(令和6年)3月に当社の従業員に子が生まれ、その従業員から、その子を自身の税法上の扶養親族とする旨の申告がありました。
 そこでお聞きしたいのですが、今年実施される所得税と個人住民税の定額減税について、上記の子は、その従業員の所得税と個人住民税の定額減税の対象となる扶養親族に該当するのでしょうか。教えてください。

[回答]

 ご相談の令和6年3月に出生した子については、所得税の定額減税の対象とはなるものの、個人住民税の定額減税の対象とはならないこととなります。詳細は下記解説をご参照ください。

[解説]

1.令和6年に実施される所得税・個人住民税の定額減税の概要

 令和6年分の所得税と令和6年度・7年度の個人住民税については、定額による特別控除(定額減税)が実施されます。

 具体的には、各人の所得税と個人住民税額から、原則として、下記の特別控除の額を控除すると定められています。

(1)所得税の定額減税額

  • @本人:3万円
  • A同一生計配偶者又は扶養親族(いずれも居住者(※1)に該当する人に限ります):1人につき3万円

※1 居住者とは、国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人をいいます。

(2)個人住民税の定額減税額

 令和6年度分の個人住民税については、納税義務者(本人)、控除対象配偶者及び扶養親族1人につき1万円を乗じた金額が、個人住民税の所得割額から控除されます。

 また、令和7年度分の個人住民税については、控除対象配偶者以外の同一生計配偶者を有する人(※2)について、1万円を個人住民税の所得割額から控除することとされています。

※2 控除対象配偶者以外の同一生計配偶者を有する人とは、納税義務者(本人)の合計所得金額が1,000万円超で、かつ、配偶者の合計所得金額が48万円以下の人をいいます。

2.所得税における扶養親族の定義とその判定時期

 所得税法において、扶養親族とは、居住者の親族(その居住者の配偶者を除きます)並びに児童福祉法の規定により里親に委託された児童及び老人福祉法の規定により養護受託者に委託された老人でその居住者と生計を一にする人(青色事業専従者に該当する人で給与の支払を受ける人及び白色事業専従者に該当する人を除きます)のうち、(その年の)合計所得金額が48万円以下である人をいうと定められており、その判定時期は、原則として、その年の12月31日の現況によると定められています。

3.個人住民税における扶養親族の定義とその判定時期

 地方税法において、個人住民税(所得割)の課税標準は、前年の所得と定められており、その賦課期日は、その年度の初日の属する年の1月1日と定められています。

 また、地方税法において、扶養親族とは、個人住民税(道府県民税および市町村民税)の納税義務者の親族(その納税義務者の配偶者を除きます)並びに児童福祉法の規定により里親に委託された児童及び老人福祉法の規定により養護受託者に委託された老人でその納税義務者と生計を一にする人のうち、前年の合計所得金額が48万円以下である人をいうと定められており、その判定時期は、原則として、前年の12月31日の現況によるものとすると定められています。

4.令和6年3月に出生した扶養親族についての定額減税の取扱い

 上記2.および3.で述べたとおり、所得税と個人住民税とで扶養親族の判定時期等が異なります。したがって、今回のご相談の令和6年3月に出生した子については、所得税の定額減税の対象とはなるものの、個人住民税の定額減税の対象とはならないこととなります。

[参考]
所法2、85、改正措法41の3の3、地方税法23、34、39、292、314の2、318、附則5の8、国税庁「令和6年分所得税の定額減税Q&A」(令和6年4月11日改訂)、総務省自治税務局市町村税課「個人住民税の定額減税に係るQ&A集」(令和6年4月1日改訂)など

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